芝生の上。春の陽ざし。イタルさんがメモ帳片手に唸っている。ニシオカさんはタブレットを操作中。AIちゃんはどこからともなく現れる。


イタ「うーん……売上は伸びてる。でも、なーんか伝わらへんねん、これ。」

ニシ「それ、今朝の社内プレゼンっすか? “前年比120%”って言われても、たしかにピンとけえへん人、多かったっすね。」

イタ「なあAIちゃん、なんで“数字”って、こんなに無口なんやろ?」

AIちゃん「数字は無口なんじゃなくて、しゃべらせる気がないだけでしょ。数字が嫌われるのは、たいてい“感情”とセットにされてないから。」

ニシ「セット……?」

AIちゃん「うん。たとえば“前年比120%”って言うだけじゃ、“へえ”で終わる。でも、“去年やっと乗り越えた壁を、今年はあっさり飛び越えたんです”って言ったら、ちょっとドラマが生まれるでしょ?」

イタ「なるほどなあ!数字の“後ろ”に、物語があるんやな。」

ニシ「それってつまり、“感情で聞いて、論理で納得する”ってことっすか?」

AIちゃん「正解。数字は信頼の柱。でも感情は、人を動かすエンジン。どっちかだけじゃ、PRとしては片手落ち。」

イタ「数字を語るんやのうて、“数字で語れるような感情”を残すってことか……深いなあ。」

AIちゃん「深いとか言ってるうちは、まだ浅い。」

ニシ「さすが毒舌AI。でもまあ、確かに……次の発信、数字だけじゃなくて“どんな気持ちで達成したか”も書いてみますわ。」

イタ「せやな!“120%の裏にあった3人の残業”とか、数字に顔をつけたる感じでいこ!」

AIちゃん「ようやく、PRっぽいこと言ったね。」


感情とセットにして数値を語らなきゃ

▶第8話「社内報って読まれてるんですか?」

 

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※この物語は概ねフィクションです。実在の人物や組織と関係のある話題もたまにありますが、実際には関係のない話が多分に含まれております。