日本のAIビジネス最前線!『第7回 AI・人工知能EXPO』に行ってみた
みなさんこんにちは!
株式会社Dai メディアチームのミサトです。
早速ですが…みなさんAIって活用していますか?
2022年11月にリリースされたChatGPTの影響は弊社でも大きく、日々Daiのメンバーで業務にAIを活用する方法を模索しています。
そんななか、今年2023年5月10日~12日にかけて、東京ビッグサイトで【AI・人工知能EXPO】なるイベントが開催されるとの情報をキャッチ!早速、私を含め3名のメンバーで参加してきましたので、そのときの様子をご紹介します!
日本のAIビジネスの最前線!一体どんな展示会になったのでしょうか?
関西から参加したメンバーも!
本題に入る前に、今回参加したメンバーを簡単に紹介していきます!
開発チーム所属。京都から参戦。
Daiの頼れるお兄さん。
元教師というバックグラウンドがそう感じさせるのか?
セキュリティー担当としても大活躍。
メディアチーム所属。東京在住。
元サッカー選手のやり手セールス。
THEアスリートな明るさとひたむきさでチームを引っ張っています!
お腹が弱い。
メディアチーム所属。大阪から参戦。
撮影&執筆担当。
自称“わくわくクリエイター”。
遠くは京都、大阪からの参戦となりました。
かかった経費に見合う学びが得られるよう、気を引き締めていきましょう!
AIの注目度が分かる!会場の熱気がすごい
大阪の自宅を出発し、電車に揺られること約4時間…東京ビッグサイトに到着!
続々会場に吸い込まれていく人たちと、東京ビッグサイトの迫力にユージローさんもテンションが上がっている様子。
さて、入場手続きとプレス手続きを済ませ、いざ会場に入ると
人人人!
実はこのAI・人工知能EXPO、今回で7回目の開催となるよう。
総勢125の企業や団体が、AIを活用したシステムや開発成果などを展示しています。
僕(ミサト)がいままで参加してきた展示会のなかでも、人口密度でいえば過去最高かもしれません!
展示されているものは多岐にわたり
- 独自開発のAIを使用した対人型システム
- AIの画像認識技術を使用した不良品の検知システム
- ChatGPTを使用したシステム
などなど…
話題のChatGPT(正確にはOpenAI API)を組み込んだシステムもいくつか紹介されていましたが、多くは自社で学習・開発したAIを使用している様子。
自社のAIシステム×ChatGPTを使用して、システムをパワーアップさせる…なんて企業も見られたのは驚きでした!
とくに注目度の高かったブースをピックアップ!
非常に興味深いブースが集まった本展示会。
本当はすべてのブースをご紹介したいのですが、そういうわけにもいきません。
そこで、とくにメンバーからの反応があった4つのブースを抜粋し、お話を伺ってみました!
1. ウェルヴィル『LIFE TALK ENGINE』
はじめに伺ったのは、可愛いバーチャルキャラクターが特徴的なウェルヴィル株式会社のブース。こちらでは印刷業界の大手、大日本印刷株式会社とウェルヴィルが協力し『バーチャルキャラクターに対話AIを組み合わせた接客サービス』の開発を進めているんだそう。
大日本印刷株式会社の浅羽 慎太郎(あさば・しんたろう)さんにお話をお聞きしました。
早速ですが、こちらはどういったサービスを紹介するブースですか?
ここでは、ウェルヴィルさんの開発した『LIFE TALK ENGINE』という日本語対話AIをベースにして、キャラクターが接客してくれるサービスを紹介しています。
なるほど、接客向けのサービスなんですね!
そうです。最近、色々なところでAIによる接客の実証実験がされています。しかしその多くは、キャラクターがただ座っていて簡単な対応しかしてくれないので、はじめは興味本位で利用されることもあるかと思いますが、継続的に使用されることは難しいのかなと考えています。
私たちのこのサービスは、お客さまの関心を引くことはもちろんですが、雑談をきっかけにお客様に楽しんでもらいながらお店に対する正しい情報をお伝えして、来店導入まで完結することで販促のサポートをはじめスタッフの業務効率化を目指しています。
僕もこのキャラクターに惹かれてきちゃいました(笑)
対話もできるんですか?
現時点は機能を絞っているのですが、簡単な問いかけなら対応できます。
簡単な雑談をする機能もあって、その機能の一部でウィキペディアや、いま流行りのChatGPTなどを活用しています。
浅羽さんは大日本印刷の方とのことですが、この『FUN’S PROJECT』にはどのように携わっておられるんですか?
僕たちは、大日本印刷のなかでも「コンテンツコミュニケーション本部」といって、エンターテインメント領域のクリエイターや企業の皆様と共創し、新しい価値を生み出す取り組みをしています。
その活動の1つとして、クリエイターに活用いただくためのツールや、エンタメ業界を盛り上げるためのキャラクターとして『FUN’S PROJECT』を立ち上げました。
元々は、アニメーターやイラストレーターといったクリエイターの価値向上のために立ち上げたというこのプロジェクト。省人化はもちろん、クリエイターが輝く未来にもつながるAIの活用事例でした。ベースとなっているAIシステム『LIFE TALK ENGINE』の活用についても注目したいですね!
2. トゥモロー・ネット『CAT.AI』
お次は、大きなスマートフォンが目を引く、株式会社トゥモロー・ネットのブース。
こちらでは、ナビゲーション型の対話AIシステム『CAT.AI(キャットエーアイ)』のデモを体験できるとのことで、AIプラットフォーム部門 マネージャーの知念 努(ちねん・つとむ)さんにお話を伺いました。
まずは、どのようなサービスなのかお聞きしてもいいですか?
はい。簡単にいえば、ボイスボットとチャットボットを掛け合わせたサービスとなります。
たとえば、エアコン修理とかで業者に電話をかける場面などで、コールセンターの代わりとなるのが『CAT.AI』です。
コールセンターの代わりということは、AIが喋ってくれるんですか?
喋ってくれますし、こちらが喋った言葉を聞いて対応してくれます。
それでは試しに、クレジットカードに関する問い合わせ対応のデモをお見せしますね。まずは、ユーザからコールセンターに電話をかけていただきます。
<AIアシスタント>
お電話ありがとうございます。トゥモロー・カード、カスタマーセンターでございます。
次の4つの番号から1つをお選びください。
*** 中略 ***
要件をお話ください。
利用明細を教えてください。
<AIアシスタント>
ご利用明細の確認をいたします。
恐れ入りますが16桁のカード番号を入力してください。
*** 中略 ***
6月10日のお支払い予定金額は、5万4320円でございます。
そのほか、ご不明な点はございますか?
リボ払いに変更したいです。
<AIアシスタント>
リボ払いへ変更をご希望ですね。6月のお支払いをすべてリボ払いに変更しますか?
一部だけ変更してください。
…と、ここで通話画面からチャット画面に切り替わって、音声案内を聞きながらチャットで細かな操作ができます。
これで、電話だけでリボに変更がすみました。どうしても、ボイスボットだけだと分かりにくい部分もありますよね。
しかしチャットボットを組み合わせることで、その煩わしさを解消しています。チャットボットなら、たとえば機械の操作方法なんかを、動画や画像で伝えることもできるようになります。
ものすごく便利ですね!
ボイスボットとチャットボットを組み合わせたサービスって見たことがないんですが、同様のサービスで競合ってありますか?
私も見たことはありません。
このシステムは特許も申請していますので、おそらく弊社だけだと思います!
去年の3月にリリースされたばかりにもかかわらず、すでに多数の企業、様々な業界で導入が進んでいる『CAT.AI』。デモを触れば分かりますが、ボイスボットとチャットボットを組み合わせることによる利便性がとてつもなく、コールセンター業務の常識が変わる可能性を大いに感じました!
3. 時空テクノロジーズ『ログミーツ』
現在のAIブームの火付け役となり、いまや知らない人はいないChatGPT。そんなChatGPTを活用したシステムが、株式会社時空テクノロジーズの『ログミーツ』です。
ブースのご担当者さまに詳しくお話を伺いました。
こちらはどういったサービスですか?
ログミーツは、音声を認識してAIで文字起こしをし、さらにChatGPTで要約を行なうシステムです。
専用機器を使うタイプと、Windowsアプリの2パターンでご利用いただけます。
なるほど。今までもAIによる文字起こしや要約はありましたが、それらとの違いはどこでしょうか。
文字起こしには自社開発の高品質なAIを使用しています。要約に関しては、現状一番優れているAIであるChatGPTを活用しており、この両方を使うことで非常に高い精度の文字起こしと要約を可能にしています。
1つのサービスで文字起こしと要約ができるというのも、ほかにはないログミーツの特徴だと思っています。
ほかにも、たとえばクレーム対応をした際の音声を文字起こしして、命令系のところだけを抽出したり、Q&A形式で抽出する機能もあります。
また、いろいろな場面で使っていただくために、セキュリティにはかなり気を使っています。
いろいろな場面とのことですが、どういった方が利用されているんですか?
元々は文字起こしAI単体で、自治体さまに向けてリリースしていました。
企業さま向けのリリースは最近はじめたばかりなので、まだ圧倒的に自治体さまが多いですね。
いただいたパンフレットを見てみると、滋賀県・長野県といった市町村の名前がズラリ…!すでに250以上の自治体で導入されていると語る担当者様の瞳には、商品力に対するたしかな自信が見えました!
4. 九州工業大学『ニューロモルフィックAIプロジェクト』
ここまで企業の展示を紹介してきましたが、趣向を変えて学生たちが運営するブースも見ていきましょう。
九州工業大学のブースでは『ニューロモルフィックAIプロジェクト』に関する展示をしているそう。ニューロモル…?まったく聞き覚えのない言葉にタジタジしながらも、本プロジェクトの代表をされている水谷 彰伸(みずたに・あきのぶ)さんにお話を伺いました!
なにやらロボットのデモをされているようですね。
このロボットは一体どういったものなのでしょうか?
これは、トヨタが寝たきりや身体の不自由な方のために作ったロボットです。
このロボットに人がコントローラで指示を送ると、棚からものを取ってきてくれたりします。
ロボット自体はトヨタが作っているということは、九州工業大学ではソフトウェアの開発をしているんですか?
そうですね。私たちはとくに、物体の認識システムを作っています。
三次元空間のなかに物体を置いて、いろいろな角度・背景、いろいろなシチュエーションのデータを自動的に作ることで、AIを訓練させているんです。
大学の研究内容が、このロボットのシステム開発なんですか?
いえ、私の場合はロボットの記憶に関する研究をメインで行なっています。
とくに脳の機能、海馬や前頭前野・扁桃体などの機能に着目して、そういったものを取り入れた脳型の人工知能を作ろうとしています。
話は変わりますが、いまはChatGPTが流行っていますよね。
九州工業大学でも活用されていますか?
授業はあまり取っていないので分かりませんが、研究室ではみんな使っていますね。さすがに論文を書かせることはできないですが、データの読み込みにはガンガン使っています。
あとは、ChatGPTを使って何か面白いものを作れないかとかは、常にみんな考えています。
さすが、AIを研究している学生さんたちですね!
使用を禁止する学校も出てきているようですが、そういったことはないですか?
少なくとも九州工業大学内では、禁止は聞いたことがないですね。
ラボのなかは禁止どころか「お金は出すからドンドン使っていいよ」といったスタンスです。
学生さんとは思えない落ち着きで対応してくださった水谷さん。しかし、言葉の端々にはAI研究に対する熱と愛情が滲んでいました。日本のAI開発の今後を担う学生の姿に、取材班一同、元気をいただけましたね!
Hibikino-Musashi@Home(プロジェクトチーム)
セミナーも大大大盛況!
本展示会では、会場の2箇所で規模の違う2つのセミナーが同時開催されていました。
こちらは、日本マイクロソフト社による「Microsoft 365 Copilot」の簡単な紹介セミナー。
さすがに注目度が高いだけあり、周辺は身動きが取れないほどの混雑となっていました。
このセミナーでは、いくつかの印象的な言葉を聞くことができました。
<マイクロソフトジャパン 担当者>
Microsoft 365 Copilotのリリース時期は、まだ決まっていません。でも開発メンバーは早く出したいと思っているので、もう少しお待ち下さい!
<マイクロソフトジャパン 担当者>
最近のスタートアップのアジャイル開発(速度を重視した開発手法)には、Microsoftも危機感を持っています。今までは確定した情報だけをユーザに届けていましたが、これからはアジャイルのスピード感に負けないよう、決まったことからドンドン発信していきます。
あのマイクロソフトの社員がこういったコメントを行なうのは、本当にすごいことですよね。
ChatGPTの登場が世間に与えた影響と、AIが人間の知能を超える、その特異点を目前にした時代のスピードを感じさせるセミナーでした。
もう一方の特設会場では、さらに大規模なセミナーを開催。
あっという間に予約が埋まってしまったため参加することはできませんでしたが、少しだけ様子を撮影させていただくことができました。
思った以上のキャパシティ…!
この会場がすぐに埋まってしまうなんて、AIの注目度は凄まじいですね。
さいごに取材メンバーから一言
AIに対する熱度をすごく感じました!
つまりは、周りもこれからAIを活用して何か新しいことを始めそうな予感がして、自分達ももっと上手に活用していかないと!と思いました。
社内ではChatGPTを早い段階で業務に取り入れ、試行錯誤しながらより良い活用方法を探っています。
今回のEXPOで外の世界を見ることで自分たちの現在地を知る良い機会になりました!
EXPOで見かけたサービスの導入を上司に提案しようと思っているのはここだけのお話。
やっぱり日本マイクロソフトのセミナーで感じた、業界の成長スピードが印象的ですね。
これから世界はどう変わっていくのか、楽しみで仕方ありません!
会場の熱気は皆さんにも伝わったでしょうか?
日本のテクノロジーについて憂う声が聞こえる昨今。
AI技術を紹介する多くの出展ブースと、それらを興味深そうに回る来場者の方々の姿をみたら、日本のテクノロジーはもう一度盛り返せそうな気がしてきました!
最後までお読みいただきありがとうございました!