2025年3月27〜28日にかけて13回目となるGM(General Meeting)を福岡県福岡市の志賀島で開催しました。
今回のGMのテーマは「海で交わる福岡GM」。なぜ海?なぜ交わる?福岡GMのテーマ設定の背景や当日の様子をレポートします。

GMとは?

株式会社Daiでは、コーラルワークという新しいはたらき方を提唱、実践しています。コーラルワークは出社を前提としないフルリモートなので、普段はメンバーが全国各地で各々の住んでいる地域から仕事をしています。そんな私たちが四半期に1度、日本のどこかで一堂に会する集まりがGMです。

GMでは、会計勉強会を開いて会社のみんなで会社の会計について話したり学んだりする他、リアルに会うからこそ活きるコンテンツを毎回企画しています。そして、会社のフィロソフィーとして掲げている「文化を愛し教養を育む」を体現すべく、2日間のうち1日はGMの開催地の文化や歴史を肌で感じられるコンテンツを実施することが恒例となっています。
福岡GMではどんなコンテンツが行われたのでしょうか。

テーマ

キーワード①「交わる」

福岡市在住で、第13回GMを福岡に誘致した張本人のふぇありぃは考えていました。
「社内のメンバーがどこのチームに所属していて、どんな業務をしているのか、だいたいは理解してる。けれども、具体的にどんな業務をしているのか、その詳細までは案外分かっていない。もし、チームを超えたメンバー間の業務理解が深まれば、今以上に強い組織になりそうな気がする!」

そんな思いから、「交わる」を福岡GMのテーマに据えることにしました。

「交わる」をテーマに据えた福岡GMをどんなメンバーで作っていくのか。
通常、GMは回ごとにGMC(General Meeting Creator)と呼ばれる企画、運営の中心となる人を数名募り、開催地の選定から当日の運営までを行います。合理的な仕組みではありますが、一方で「GMC」と「GMCじゃない人」という隔たりを作ってしまい、福岡GMのテーマである「交わる」とは逆行した仕組みにも見えます。

そこで福岡GMでは、あえてGMCを発起人の自分1人だけに限定して、GMCが個別に、あるいは全体に協力を依頼することで、「GMC」と「GMCじゃない人」が交わる仕組みを作ろうとしました。

※このブログもGMCではない3名の協力を得て作成しています。

キーワード②「海」

福岡市在住で、第13回GMを福岡に誘致した張本人のふぇありぃは考えていました。
福岡でみんなに紹介したい場所、体験して欲しいことがあり過ぎて収拾がつきません。何か、切り口が必要です。

「福岡を福岡たらしめているものは何だろう?
福岡は今も昔も交通の要衝として発展してきた歴史がある。今では福岡空港や博多駅が注目されがちだけど、歴史的には大陸に近くて広くて穏やかな博多湾のおかげで博多の街が栄えた経緯がある。一番古くから福岡の街の発展を支えてきたけど、今現在影の薄い博多湾。そして、子どもの頃から友達と遊んだり、家族で出かけたりしていて、大人になった今でも釣りをしに行く博多湾。
そうだ、自分が福岡でGMCをやるなら『海』をテーマに入れなければ!」

ということで、福岡GMの切り口も決まり、海に囲まれた志賀島をメインの開催地として選定しました。

【1日目】

海水淡水化センター(まみずピア)の施設見学

文:ちゃありぃ

やってきました!まみずピア!
この日の天気は曇りのち雨。残念ながらきれいな海を堪能するコンテンツは難しいとの判断で、全員でこのまみずピアへ行くことになりました。
だがしかし、あなどるなかれ。
過去、急速な都市化で渇水に悩まされていた福岡都市圏を、海水と技術で救ったすごい施設なのです!

まずは海水の取り方。管を海中に設置して直接海水を取ってくるのではなく、海底の砂の中に取水管を設置することで、自然のチカラで海水が濾過され、汚れやゴミをほとんど取り除くことができてしまうのです。(すごい!)それに適したちょうどいい砂を海底から見つけ出すのに、かなり苦労されたとか。
その後「逆浸透システム」を使って海水から真水を取り出し、毎日最大5万立方メートルもの水を淡水化しているそうです。

この一連の仕組みを取り入れているのは、世界中の海水淡水化施設の中でもここだけ。多くの国々から視察に訪れるほど、注目を集めています。

真水で栽培されているミニトマトの収穫

最後は、私たちが普段口にしている「水道水」と、この施設で作られたばかりの「真水」の飲み比べ!
初めての体験でしたが、真水はびっくりするほど無味で、塩素の匂いのしない純粋な水分という感じでした。余計な味や匂いがないので、お酒を割るのにぴったりなんだそう。

ここでしか体験できない、福岡の歴史と自然、技術にいっぺんに触れられた時間となりました。案内していてだいたガイドの理子さん、ワクワクするお話をたくさんありがとうございました。
施設見学は無料なので、福岡を訪れた際にはぜひ行ってみてはいかがでしょうか。

講話

文:いたる

【「交わり」とは、与えること──神父である元スタッフのお父さんによる講話】

先日、元スタッフのお父さん(神父)が、福岡GMにお越しくださり、スタッフ向けに講話をしてくださいました。

テーマは「交わり」。印象的だったのは、「交わりとは、与えることです」という一言。

水を自分の田んぼだけにためた男が、結局その水を腐らせてしまった話。私たちも「自分のためだけ」と思った瞬間に、心の根が腐り始めるのかもしれません。

また、「アガペー」という言葉についても教えていただきました。聖書で語られる「愛」は、見返りを求めず、大切なものを差し出す決心のこと。明治時代にこの言葉を日本語に訳すとき、「愛」と訳すしかなかった──けれどそれが当時は誤解もされた。そんな背景にも学びがありました。

与えるとは何か、働くとはどういうことかを静かに問いかけてくれる時間。彼がいたご縁で、私たちにもすてきな“交わり”が訪れたことに、心から感謝しています。

懇親会

志賀島には小さな飲食店がいくつかありますが、Daiのメンバーとゲストがみんなで入れるお店はなく、宿泊するホテルのレストランを利用させてもらいました。

今回お世話になったホテルでは、会議室と宿泊と朝夕の2食付きでお得な料金パックプランを選んだので、正直に言って料理にはそこまで期待していなかったのですが、ふたを開けてみると、海鮮や郷土料理を含めてどの料理もおいしくて、そのクオリティの高さにびっくりしました。

これまでのGMでは、食事の時間で色々な小イベントを企画することも多かったのですが、今回はあえて何のイベントもせず、ゆっくり食事と歓談を通して交わることができたのではないでしょうか。

2次会には借りていたホテルの会議室を利用させてもらい、地元の酒屋さんにお酒やソフトドリンクを配達して頂きました。夕食をとったホテル内のレストランは他のお客さんもいらっしゃいましたが、会議室はDaiのメンバーだけで利用できたのでより一層盛り上がっていました。

【2日目】

会社の根本をみんなで考える会

開催日の直前に発案されたにも関わらず、福岡GMの目玉と言っても差し支えないほど、私たちの「はたらく」に影響し得るのが、会社の根本をみんなで考える会でした。会の趣旨としては、Daiのフィロソフィー「文化を愛し、教養を育む」、ミッション「はたらくを変える」、ビジョン「創造的で自由な選択肢に溢れた社会」、そして私たちのはたらき方「コーラルワーク」について、今一度みんなで振り返って考えるというものです。

それら一つ一つについては、社内で話すことがあっても、それら全体をどう位置付けて、どんな有機的な関係を作れるのか?といった、包括的な話は普段の業務の中ではなかなかできないし、GMで取り上げるにしても時間の確保が難しい重量級の議題です。ただ、それでも今後のために今、話し合っておくべきだろうという意見が持ち上がり、GMの恒例となっている会計勉強会を取りやめてでも、実施することになりました。

ここで何かしらの結論めいたことが決められた訳ではないですが、ここぞと決心しないとできない、会社の根本に関わる議論ができた貴重な時間となりました。

メンバー間でお仕事紹介

福岡GMのテーマとなっているキーワード「交わる」の言葉の通り、開発やセールスやカスタマーサポートといった異なるチーム間のメンバーが交わって、お互いの業務をより深く理解する会を実施する予定でしたが、会社の根本をみんなで考える会に予定以上の時間がかかってしまい、福岡GMのコンテンツとして実施することはできませんでした。
帰りの船の時間もあるので、福岡GMでの実施は諦めざるを得ませんでしたが、後日、通常業務の合間を縫って数名の小グループに分けて実施することができました。GMのコンテンツが持ち越しになることは、これまでありませんでしたが、何とか形になってよかったです。

帰路

文:タカ

福岡・志賀島で実施した2日間のGMもいよいよ終わり。行きは陸路で入った志賀島(島といいつつ繋がっているんです)ですが、帰りはフェリーで博多港に向かいます。バスや電車ではなくフェリーでの帰路もなかなか趣があっていいもの。なかなか船に乗る機会もないですしね。

甲板や船尾に出てはしゃぐメンバーや、潮風にあたるメンバー、海からの景色を写真収めるメンバー、2日間のGMで考えたことを話し込むメンバー、志賀島への想いを胸にそれぞれ波に揺られる時間となりました。

終わりに

GMCとしては1人でしたが、GMC以外のメンバーにもたくさん助けて頂きました。企画の相談に乗ってくれた人、意見をくれた人、資料を作ってくれた人、社内の調整や社外の施設の窓口になってくれた人、ブログを書いてくれた人などなど。GM作りに関係してくれた人数は15人超。GMCとそれ以外という垣根を壊す試みとして1人GMCをやっていたので、1人GMC冥利に尽きます。みなさん、ありがとうございました!

ここからはエピローグとなります。

帰りの船にみんなが乗り込むのを見送ったあとは、借りていたレンタカーを返す道すがら、前日の懇親会ででた空き缶・空き瓶を回収してもらうべく、酒屋さんへ向かいました。酒屋さんのおばあさんはとても気さくな方で、福岡GMの準備段階にお店を伺った時から、たくさん志賀島の歴史や酒業界事情についてお話ししてくださいました。空き缶・空き瓶をお店に運び込んで、ひとしきり挨拶を終えて、もうお別れというタイミングで、おばあさんが道案内を始めてくださいました。

「この道をまっすぐ行くと、丘の上に公園があります。その場所は、戦時中には物見櫓が置かれて敵の船や飛行機を監視していましたが、終戦後は公園が整備されて展望台が作られました。またいつか、何かが起こってもすぐに使えるように。。。展望が良くて絶景なのでよかったら是非行ってみてください。その公園の手前を右に曲がると福岡市街地の方へでられますよ。」

という趣旨の話でした。この話、僕は福岡市で生まれ育ちましたが全然聞いたことがありませんでした。後日、インターネットで調べてみましたが、関連情報はまったくヒットしません。最後の最後に、ひっそり埋もれていた福岡の歴史とも交われた気がします。