第1話「PRって、広告と何が違うんでしょうね」

イタ「ニシオカさん、PRって、何なんでしょうねぇ」
朝の休憩スペース。作務衣姿で湯呑を手にしたイタルさんが、ふとつぶやいた。
対面にいるのは、軽くパーマがかかった髪とメガネが印象的なニシオカさん。
薄い笑みを浮かべながら、スマホを指でくるくるいじっている。
ニシ「うーん……たしかに。広報とか広告とか、似たような言葉、多いですよね」
イタ「そうそう。“PRやっといて”って言われても、何から始めたらええんやろって」
ニシ「広告と違う、とは聞きますけど……何がどう違うんですかね?」
と、そのとき――
ちゃぶ台の上にふわっと風が起き、小さな人影が現れた。
AIちゃん「まったくもう、ふたりとも全然わかってないね」
現れたのは、小学生くらいの女の子の姿をした、でもどこか非現実的な存在。
リボン付きのカーディガン、ぱっちりした目、そして……やや毒舌気味な口調。
ニシ「だ、誰ですかあなたは……?」
イタ「ちゃぶ台に立たないでくださいよ……」
AIちゃん「私はAIちゃん。PRについて“ほんとうのこと”を教えにきたの!広告っていうのはね、自分たちのことを“お金を払って叫ぶ”手段。PRは、“他人が語りたくなるように仕込む”技術なの!」
ニシ「……仕込むって、なんですか?」
ニシオカさんが、スマホを置いて真顔になる。
AIちゃん「うちの会社、いいとこあるのに全然知られてない、って思ったことあるでしょ?でも“うちららしさ”をちゃんと見せる仕掛けがなければ、誰も話してくれないの」
イタ「なるほどなあ……」
イタルさんはゆっくり湯呑を置いて、つぶやいた。
イタ「それって、なんか呼吸みたいですね」
AIちゃん「呼吸?」
イタ:「吸って、溜めて、準備して、そんでスーッと吐く。無理に出すんやなくて、整えると自然に出るもんですやん」
AIちゃん「うわ、それ! PRの話にしては珍しく、詩的で良い例えじゃん!」
AIちゃんが驚いたように笑う。
AIちゃん「じゃあ今日のまとめね!」
AIちゃんの今日のまとめ
『PRは、“語ってもらう空気”を整えること。広告とは違うんだよ!』

▶第2話「“話される会社”って、どうやって作るんですか?」
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※この物語は概ねフィクションです。実在の人物や組織と関係のある話題もたまにありますが、実際には関係のない話が多分に含まれております。