夜の静けさの中、焚き火のぱちぱちという音が響いていた。小さな火を囲むように、イタル、ニシオカ、AIちゃんが座っていた。

イタ「なんか、文化って焚き火に似てるよな」

ニシ「どういうことですか?」
イタ「誰かが火をつけて、誰かが薪をくべて、誰かがそれを囲んで温もる。それって、共感と似てる気がして」

AIちゃん「それは面白い喩えね。焚き火を“共感の器”と捉えるなら、文化はその周囲で生まれる振る舞いとも言えるかもね。」

その時、ゴォ…という低く長い地響きのような音と共に、森の向こうから巨大な影が現れた。まず木々の上に、5メートルのユウの姿が見え、続いて、さらに大きな7メートルのディマがゆっくりと姿を現した。

ニシ「うわ…でか…」
AIちゃん「巨大生命体、来訪確認」

焚き火の輪から少し離れたところに、ユウが静かに腰を下ろす。その隣に、さらに巨大なディマがどっしりと座った。二人とも、火に照らされた表情はどこか柔らかい。

ユウ「……ここ、あったかいね」
ディマ「フフ、焚き火……ロシアでも、よく囲んだ。寒い夜は、言葉よりも火が語る。」

AIちゃんが小さな薪を火にくべる。

AIちゃん「人は火を囲むことで、自然と沈黙や感情を共有する。それが“文化の始まり”とされる説もあるんだよね」

ニシ「でも、文化ってそんな簡単なもんですかね? 技術とか、制度とか、もっと複雑な…」

イタ「そやけど、その根っこには“なんかええな”って共感がある気ぃするんよな。たとえば、今みたいに」

イタルが少し笑って、火を見つめる。焚き火の火は小さいが、その周囲には、体格も言語も異なる者たちが輪になっている。

ディマは、ポケットから木の枝とナイフを取り出し、何かを削り始めた。

ディマ「文化は……こういうとこから育つんじゃないか? 何かを作る手。黙って見つめる目。そして、焚き火。火は、差を平らにする」

ユウ「……大きい者も、小さい者も、同じ火に照らされてるからね」

その言葉に、イタルとニシオカも頷いた。

AIちゃん「“文化って、共感で育つんですか?”……この問いへの答えは、今ここにあるような気がするね」

夜風が少し吹き、火が揺れる。その光は、7メートルの巨人の横顔も、隣でじっとしている小さなAIの頬も、等しく照らしていた。

そして、誰かが薪をもう一つ、火にくべた。

画像
文化は……こういうとこから育つんじゃないか?

▶第28話 「“外との関係”って、PRになるんですか?」

この記事はDaiでイチからはじめるPRでも読むことができます
 ※この物語は概ねフィクションです。実在の人物や組織と関係のある話題もたまにありますが、実際には関係のない話が多分に含まれております。